「私もうあの人が居ないと生きていけなァーい!」
恋だの愛だの、馬鹿馬鹿しいと思っていた。
何があの人が居ないと生きていけない、だ。嘘付け、フラれたら即効で他のヤツ探す癖に。それって本当にそこまで想ってたのかよ、って聞きたくなる。
大体、恋なんて不毛だ。ましてや片思いは。
相手が何て思ってるかわからないのに、そんなにずっと相手の事考えてどうすんだ。相手にとっちゃ何だコイツウゼー、とか思われてるかもしれねェって思わねェのか。
よく聞くが、名前と呼ばれるだけでトキめく、とか。ンな、名前呼んだから何だってんだ。相手に取っちゃ呼んだだけなのに、こっちはトキめいてます!とか迷惑かもしんねーじゃん。
それに、相手の事思ってて何も手に付かない、とか。それはどうなんだ。
仕事や任務の時、相手の事考えてて支障が出たらどうすんだ。○○の事考えてました!で通じると思ってんのか?そりゃ、無理だ。取り返しの付かない事が起きたら尚更。
ああ、本当に。顔が見れるだけで幸せとか。話すだけで幸せとか。わからねェ。
ドコかのドラマで、無償の愛を捧げるとか言ってたが、本当かよ。人間誰しも得や楽になる方法を考えて生きているはずだ。なのに、無償の愛とか本当にできんのか。
―そう、思っていた。
「あ、おーい!シカちゃーん!」
ああ、今トキめいた。ドキ、ってした。
「・・・っす。」
「よす!何シカちゃんも散歩か?一緒行くか?」
ああ、顔が見れるだけで幸せなのに。話すだけで幸せなのに。
一緒とか、ヤバイ。顔がニヤけそうだ。
「おー、別に良いぜ。メンドクセーけど」
「えー何がメンドクセーんだよ!テンションか!俺のテンションか!」
そんな事言いつつ、でも楽しそうに笑ってるアイツ。
お前の幸せそうな姿を見れりゃ、俺はそれだけで幸せだ。
お前の為なら、無償の愛を捧げられる。お前さえ幸せなら俺なんてどうでも良い。ただ、ただ、お前に幸せに笑っていてほしい。悲しそうな顔なんて見たくない。
ずっと、お前の事を考えてる。
お前が居ないと、生きていけない。
「別に、何も言ってねーじゃん。」
「メンドクセーって言ったじゃん!わーん、俺もうショックだわー。」
「顔笑ってるヤツの言うセリフかそれー。」
「言うセリフなんですぅー。」
好きだ好きだ好きだ好きだ。
お前が、どう思ってるかわかんねーけど、好きなんだ。
ずっとこうやって、バカやって笑っていたい。
でも、もっともっとお前を知りたい。抱き締めたい、キスしたい、抱きたい、って思う俺は最悪だ。俺等は男同士、どう考えても無理な恋。諦めなきゃダメなんだ。
「っつかよー。マジ、赤丸先帰るの。酷くね?」
「おー・・・。」
「・・・?どったのシカちゃん。考え事?」
諦めなきゃダメだ諦めなきゃダメだ諦めなきゃダメだ。
でも、そんな可愛い顔して俺の顔を覗き込むお前を見れば、
やっぱり好きだ、って思っちまうんだ。
「な、どうしたら良いと思う?」
「は?何が?唐突だなー、何相談されてんのかわっかんねーって!」
また、だ。恋の病とはよく言ったもので。病気のように、発作のように、
好きだ好きだ好きだ好きだ好きだ・・・
「好きだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・は?」
・・・やっちまった。思った事を口に出してしまった。
訂正しねェと、違うと言わねェと。
でも、
「お前が、好きだ。」
一度言ってしまうと止まる事ができない。
ダメだ、嫌われた。絶対、嫌われた。もう元の関係には戻れねェ。
バカ言って笑う事もできないのか。
「す、・・え?シカ、ちゃん、が俺・・・を?」
「・・・・・・・。」
ほら、ビックリしてる。良い返事なんて期待もできない。
考えられる事は、悪い返事だけ。悪い返事をもう100通りぐらい考えた。
俺は帰ったら泣く、けど。最後ぐらい格好良く終わろう。良い感じで終わろう。
絶えろ、絶えるんだ。
覚悟を決めて返事を待っていたら、
キバが俺に抱きついた。
え・・・?何、だ・・?同情?
「そんな泣きそうな顔すんなよ・・・」
「お前、何・・・」
「俺も、シカマルが、好き・・・だ。」
かああ、と赤くなり呟くアイツ。
何、言ってる、んだ?好き?キバが、俺を?
って事は・・・もしかして、これは、良い返事を貰った・・・?
「な、に言・・・え、本当、かよ・・・?」
「バッカ!こんなタイミングで嘘付けるワケねーじゃん・・!」
そりゃ、そうだ。コイツは、そんな悪いヤツじゃねェ。真剣に聞いてくれる。
真剣に、答えてくれる。っつー事はやっぱ・・・
「や、った・・・」
やったやったやったやった・・・!!
キバも、俺の事を考えてくれてたんだ。想ってくれてたんだ。
俺程だったのかはわかんねーけど、キバもトキめいててくれたんだ。
嬉しくて、また泣きそうになる。ああ、俺最近涙腺ゆるゆるだ。
「・・・お前さー、そんな様子見せねェからさ。俺の事なんて眼中に無いと思ってた。・・・・・それに、女にモテるし、さー。」
「ワリィ、隠してた。だってオッケーされるとか思ってねェ、し・・・あー、もう好きだ。俺にとっちゃ、女子の方が眼中にねェよ。・・・お前しか、見てねーよ。」
くっさいセリフ言ってんなぁ、俺。
でも、アイツは、嬉しそうに笑ってる。顔赤いけど、嬉しそうだ。
「あんがと・・・」
「いや、本当の事だし・・・。あー、えっと、今日は帰る、か・・・?時間もあれ、だし。」
「え、やだ。もっと話したい、じゃん!もうちょい散歩しね・・・?」
あーもう。可愛いなぁ、俺理性保てねェよ。何か線が切れそうだ。
「・・・お前が良いなら、良いけど。」
「お、おー。だから俺が行きてーっつってんじゃん!ほら行くぞ!」
ぎゅ。
俺の手を握るアイツ。かああ、って赤くなってずかずか進んで行く。
「・・・可愛いな、お前。」
「っせ!」
俺等は、手を繋いでまた散歩を始めた。
片思い、もしくは叶わぬ恋をする皆様へ。
その恋は実らないかもしれません、けど、勇気を出す事は良い事かもしれません。
すっきりするし、な。
だから、頑張ってください。俺は応援します。
恋をするって、幸せですね。少なからず俺は幸せです。
全国の片思い、もしくは叶わぬ恋をする皆様に幸あれ。
「・・・・・・なんつって。」
「あー?何か言った?」
「べっつにー。幸せだな、って。」
END
言いワケ
シカちゃんがぐだぐだ理論の並べるのが書きたかったんですが、書けたのかなコレ(ぇえ
最後の方とか考えてなかったんで収拾のつかない事に。わあ。
っていうかキバシカの前にシカキバ書いちゃうとか・・・orz